高耐力マイクロパイル工法

概要

 マイクロパイルとは、300mm以下の小口径の場所打ち杭・埋め込み杭の総称です。ボーリングマシンによって地中に小口径の削孔を行い、異形鉄筋や鋼管などの補強材を挿入し、周囲にグラウト(セメントミルクまたはモルタル)を注入して築造するものです。

 高耐力マイクロパイルは外径が300mm以下の小口径の杭で、グラウンドアンカー工法で用いられている削孔技術やグラウト加圧注入技術を取り入れています、杭体となるケーシングには高強度鋼管(HMP鋼管)を用い、補強材として太径のネジ節異形棒鋼を組み合わせ、その間にグラウトを注入することで、高耐力・高支持力の杭を形成します。

 本工法は、既設橋梁基礎の耐震補強や、厳しい制約を受ける(狭隘地、近接施工など)基礎工事で広く活用するとともに。道路拡幅・地盤補強などの工事に使用します。アメリカのカリフォルニア州交通局(CALTRANS)によって1989年のロマプリエタ地震以後、耐震補強用杭工法として採用され、1999年以来わが国においても構造物の耐震補強や狭隘な場所での新設構造物の基礎杭として多くの施工実績が蓄積されています。

特長

設計面
  1. 小口径で高い支持力を得ることができる。
  2. 押込みおよび引抜きに有効に抵抗できる。
  3. 斜杭を活用することで水平力に対して有効に抵抗できる。
施工面
  1. 小型機械なので、狭隘地・近接施工で使用できるとともに、騒音・振動が少ない。
  2. 地中埋設物や既設構造物への影響が少ない。
  3. 低空頭での施工が可能であり、3.5m程度の空頭制限に対応できる。
  4. 砂礫地盤・玉石地盤および岩盤の削孔が可能。
  5. 掘削土量が少ない。
図-高耐力マイクロパイルの構造

施工手順

図―高耐力マイクロパイル工法の標準的な施工手順

適用分野

図―高耐力マイクロパイル工法の適用分野